不動産オークションサイト マザーズオークション、失敗の理由と成功させるための方法

少し前の話ですが、マザーズオークションというサイトがありました。テレビCMでも大々的に宣伝していた、不動産のオークションサイトです。今回は不動産のオークションサイトについて、なぜ失敗したのか?またどうしたら成功するのかを考えていきたいと思います。

マザーズオークションのしくみ

マザーズオークションはインターネット上に入札価格が公開されるので透明性が高く安全な取引ができると言われていました。その他にも「明瞭な市場価格による取引」、「透明性の高い手続き」、「中立な立場で審査・公開された詳細な情報をご提供」、「他にはない不動産購入・売却のチャンス」、「出展・取引から契約まで全ての手続きをサポート」などのメリットがあるとして、加盟店を増やしていきました。

私が以前勤めていた会社にも加盟店募集の営業が来て話を聞いたのですが、最終的には海外に居住している方でも日本の不動産を簡単に購入出来るようなシステムを作ることも目指しているとのことでした。

リーマンショックの前で不動産価格が上昇していた頃なので、不動産市場の拡大に期待が持てましたが、オークションに出る物件数は少なく、実際に入札される数も微々たるものでした。

公正で透明な取引を全面に押し出したこの運営方法は素晴らしいと思いましたが、日本の風土には合わなかったのでしょう。

ここがおかしい日本の不動産業界

マザーズオークションの中で出店される物件の資料は数多く、重要事項説明書なみの書類の多さでした。一般の方には不要な物も多いと思いますが、さすがに透明な取引を目指すだけあって充実していました。

ただし、ここが日本の不動産業者にとっては煩わしい作業になっていました。

宅建業法の中では不動産仲介業者は契約までに重要事項説明を行うことが義務づけされています。対象となる物件の法令制限など詳細を伝えたうえで契約を行うためです。説明は契約までに済ませればいいのですが、一般的には契約日に初めて重要事項説明を行い、すぐに契約を締結します。

そのため、契約が決まってから詳しい物件の調査をする不動産業者も多いため、客に最初に紹介する時点ではきわめて少量の情報しか調べていないことが多いのです。

不動産取引はスピードが命なので、詳細な調査に時間をかけるよりも、客への物件紹介を急ぐ傾向にあるのです。

このような業界の慣習がある中で、マザーズオークションのように詳細な資料の提出が必要となるサイトが広がるわけがありません。

本来ならばマザーズオークションのようにサイトに物件を掲載する時点で、詳細な資料を提出することが望ましいのですが、長年行われている業界の慣習を変えるのは難しいことです。

日本で不動産オークションを成功させるにはどうすればいいか?

これにはかなりの時間を要する必要があると断言できます。
まず、マザーズオークションはサイトを運営すると同時に物件の仲介にも入っていました。

不動産の取引は買い手側、売り主側からそれぞれ仲介手数料が入ります。物件を掲載する不動産業者は間に入る業者が少なければ少ないほど多くの手数料を得られますので、サイトに掲載してマザーズオークションから手数料を取られるよりも、自前で販売したいと考えますので、売りやすいような良質な物件は掲載しません。よって、サイト運営会社は直接的に仲介手数料を取るよりも、別の収入源によって運営すべきと言えます。

一番いいのは仲介手数料とは別にコンサルタント料を取れるような仕組みがあればいいのですが、現在の日本の不動産取引ではなかなかコンサルタント料を取れる仕組みができていないので、コンサルタントフィーが取れるような市場の土壌作りが必要です。

それと、現地を確認せずに物件自体や周辺状況を確認できるようなサービスが必要です。

不動産は一つとして同じものはありませんので、周辺状況や物件の状態を確認することが必須です。ただし、オークションのような限られた期間の間に入札するには時間の制約は避けられません。より細やかな物件状況に関するサービスの構築をしなければなりません。

投資物件の場合は現地を確認せずに購入される方はいますが、私は不動産を購入する場合は絶対に物件を確認されることをお勧めしています。顧客のためという理由もありますが、後々のトラブルにならないようにしているからです。

不動産オークションが浸透することは取引の拡大となりますので、市場にとってはよいことかもしれませんが、安全な取引を行うためには課題が多すぎるような気がします。